八重山の生き物  作成 2016.07.09

 ここでは八重山で出会った各種の生き物(ここでは蝶と野鳥を除く)を紹介します。
 亜熱帯気候に属する八重山ではいろんな生き物に出会うことができますが、なかには八重山固有種や国指定・沖縄県指定の天然記念物も数多くいて、その層の厚さを実感することができます。

 今後少しずつ紹介していきたいと思います。 

Ⅰ.昆虫

1. イワサキクサゼミ 【日本最小のセミ】 2. リュウキュウクマゼミ
3. ヤエヤマクマゼミ 【日本最大のセミ】 4. イワサキゼミ
5. ナナイロキンカムシ
 
 
1.イワサキクサゼミ 【日本最小のセミ】
 
日本に分布するセミの中では最小の種で、体長は12~17mm。沖縄島(南部)から久高島、先島諸島に分布しています。八重山では3月上旬頃から現れ、鳴き声は「チーー」と抑揚なく長く鳴き、時々には「チッチッチッ・・・」と鳴いたり、「ジッ!」と一声鳴く時があります。
エサはサトウキビを初めとするイネ科植物の草の汁です。
「イワサキ」とは石垣島測候所の所長で、八重山研究の基礎を築いた岩崎卓爾氏から名付けられたものです。

※写真では結構大きく見えますが、実際はとても小さなセミです。
2012.04【石垣島】 2013.04【石垣島】
 
 
2.リュウキュウクマゼミ
 
八重山では6月上旬頃から現れる、オス、メスとも全長が61~70ミリ程度の大型のセミです。平地~低山地にごく普通にいます。
八重山諸島産は腹部背面に太い白帯があり、メスは腹部全体が白粉を帯びる特徴があります。
鳴き声は「シャアシャア・・・」または「ワシワシワシ・・・」と聞こえます。一般に午前6~7時頃から鳴き始めて11時頃には鳴き終わり、 午後以降はほとんど鳴かなくなります。
石垣島・西表島にはヤエヤマクマゼミがいますが、外見はクマゼミに似ているものの鳴き声は全く異なります。
2013.07【石垣島】 2012.07【西表島】
 
 
3.ヤエヤマクマゼミ 【日本最大のセミ】 4.イワサキゼミ
 

石垣島では6月下旬頃現れ8月下旬まで、西表島では7月中旬から9月上旬頃まで聞くことができる日本最大のセミです。石垣島と西表島の特産。一見すると黄金のセミに見えとても美しいです。リュウキュウクマゼミに似ていますが、腹部背面の横白帯は全く無いので、遠くからでも区別がつきます。リュウキュウクマゼミよりも生息域が山地寄りで、群棲せず、高い木の横枝に止まって鳴いています。活動は主に午前中で、8時すぎから鳴き始めます。飛翔力が非常に強く、黒い弾丸が飛んでいくようです。

体長約4cmの中型のセミで、石垣島と西表島に分布しています。概ね8月上旬~11月下旬頃にかけて発生するセミ(ツクツクボウシ属)で、秋遅くまで鳴き声が聞けることから秋ゼミとも呼ばれます。(鳴き声は内地のツクツクボウシに似ています。)
主に山間部で見られ、リュウキュウマツやいろいろな広葉樹林に生息しています。
2015.08【石垣島】 2015.11【石垣島】
 
 
5.ナナイロキンカメムシ
 
一般にカメムシは臭い種が多いのですが、これは臭くありません。背中が金属光沢の非常に派手な体色をしており特徴的な黒い斑点があり、人目を引きます。沖縄以南、東南アジア一帯に分布しています。
2008.11【石垣島】

Ⅱ.爬虫類

1. ヤエヤマセマルハコガメ 2. タイマイ
3. アカウミガメ 4. サキシマキノボリトカゲ
5. キシノウエトカゲ
 
 
1.ヤエヤマセマルハコガメ
 
日本産としては唯一の陸棲のカメで、水には入りません。西表島、石垣島、台湾および中国の一部に分布しています。普通のカメと違って、腹甲が蝶番になっていて、頭部・脚・尻尾を隠し、腹甲と背甲とを写真のように完全に密着することができます。加えて甲羅が丸く盛り上がっていることが名前の由来です。 国指定の天然記念物です。陸生で湿った林床を好んで生息しています。
雨上がりは特に行動が活発で、人里近くの道路端などをよく歩いています。時には道路を横断している姿をよく見ることがありますのでロードキルをしないよう注意して下さい。
2010.11【石垣島】 2013.07【石垣島】
 
  
2.タイマイ 3.アカウミガメ
   
ウミガメ科タイマイ属に分類されるカメです。石垣島や黒島などで少数産卵しますが、八重山が世界最北の繁殖地となっています。「べっ甲」はタイマイの甲羅を利用した加工工芸品のことです。 ウミガメ科アカウミガメ属に分類されるカメです。温帯から亜熱帯にかけての海洋に生息し、日本国内では鹿島灘、能登半島以南で繁殖しています。カメの種類は頭部の模様を覚えると見分けるのが容易になります。
2008.11【黒島】 2008.11【黒島】
 
  
4.サキシマキノボリトカゲ 5.キシノウエトカゲ
 
先島諸島の森林に生息する体長18cm程度のトカゲです。体色には変異があり、緑色のものから褐色のものまで見られます。昆虫やクモなどを餌にしています。 国指定の天然記念物。日本産トカゲ類中最大のもので、体長30cmに達する沖縄先島群島のみに産する特産種で、石垣島、西表島、与那国島の原野などに生息しています。体の背面は青味を帯びた褐色で行動は敏捷です。日中に活動して、昆虫類やミミズ、メクラヘビなどを餌にしています。春先によく見かけます。
2011.11【石垣島】 2012.4【西表島】
 

Ⅲ.哺乳類

1. ヤギ(ヒージャ) 2. ヨナグニウマ
3. ヤエヤマオオコウモリ 4. ウサギ
5. スイギュウ(水牛)
 
 
1.ヤギ(ヒージャ)
ウシ科ヤギ属の家畜。沖縄料理では汁物(山羊汁)や刺身(山羊刺し)として食べられます。一般には臭み消しにヨモギが使われます。 島によっては野生化したものもいて、これを捕獲すると自分のものにすることができます。
2012.05【西表島】 2013.04【石垣島】
 
 
2.ヨナグニウマ(与那国馬)
与那国町の天然記念物に指定されている小型の馬で、日本に8種類いる在来馬(和種馬)の1種です。 農業の機械化などにより、数が年々減り続け、絶滅が危惧されています。
2011.10【小浜島】 2010.11【小浜島】
 
 
4.ヤエヤマオオコウモリ
八重山諸島に生息する、羽を広げると1m近くにもなる大型のコウモリで、クビワオオコウモリの1亜種です。体全体が黒く、首の回りだけが首輪をしているように白または黄色の体毛におおわれています。頭胴長は19~25cm。一般のコウモリのように洞窟には住まず、普段は木の枝などに止まっています。 人を恐れず、愛嬌があり、夕方には人家に近い低いところを堂々と飛び回っています。夜行性で、夕方から夜にかけて主にイヌビワやアコウの果実、花蜜、花粉、葉などを食べ、人に害を及ぼすことはありません。
2015.11【石垣島】 2016.03【石垣島】
 
 
4.ウサギ 5.スイギュウ(水牛)
バンナ岳へ登る道の途中にいた飼いウサギです。どうみても誰かが飼育に困り捨てたものと思われます。 由布島の水牛です。かつては石垣島や西表島の水田近くで良く見られましたが、最近はここと竹富島の観光水牛車くらいでしか見られなくなりました。
2015.11【石垣島】 2007.11【由布島】

 

Ⅳ.甲殻類・貝類

1. ヤシガニ 2. ミナミコメツキガニ
3. オカヤドカリ 4. キバウミニナ
5. ヒメシャコガイ
 
 
1.ヤシガニ
 

見えづらいですが、写真中央の奥に隠れています。
エビ目・オカヤドカリ科に分類される甲殻類の一種で、絶滅危惧種に指定されています。陸上生活をする甲殻類では最大種です。ヤシガニという名からヤシの実を主たる餌にしているように思われますが、実際には雑食性です。八重山では、アダンの実を食べている姿を見るのが多いようです。雄は雌より大きく体長は40cmを超え、脚を広げると1m以上にもなり、4kg以上に成長します。 捕獲し居酒屋などで観光客相手に提供する機会が多くなったことなどもあり、最近は数が激減しています。石垣島では資源管理を目的にした石垣市ヤシガニ保護条例が2014年6月24日に施行されました。この条例によると、ヤシガニの捕獲は原則、通年の捕獲が禁止され、9~11月の間のみ保護区域外のオス(胸長40mm以上~55mm未満)を捕獲できることとなりました。保護区域内での違反には罰則規定が設けられています。
2011.07【鳩間島】 2011.07【鳩間島】
 
   
2.ミナミコメツキガニ
エビ目・ミナミコメツキガニ科に分類される甲殻類の一種で、東南アジア熱帯域の干潟に生息する小型のカニです。国内では種子島以南に生息していますが、琉球列島に生息するものは2010年に琉球列島固有種の新種と同定されました。
甲長1.5cmで、甲は強く盛り上がり全体として球形で、後縁が板状に突出します。大型個体は青色を帯びていますが小型の個体では褐色をしています。
河口域に広がるやわらかい干潟に住んでいます。 マングローブの海側の泥地などでよく見ることができます。潮が引いた干潟の上で大きな群れをつくり、ゾロゾロと歩き回ります。人が近づくとあわてて砂の中にもぐります。ミナミコメツキガニは前に歩くのが特徴です。
2015.07【西表島】 2015.07【西表島】
  
   
3.オカヤドカリ 4.キバウミニナ
熱帯域~亜熱帯に広く分布するヤドカリの仲間で、和名の通り成体は海岸付近の陸上部で生活しています。日本では計7種のオカヤドカリが存在していますが、これはナキオカヤドカリのように思われます。オカヤドカリは国の天然記念物の指定を受けていますが、八重山ではどこにでもいるありふれた生物と言えます。 インド太平洋熱帯海域のマングローブに生息する塔形巻貝です。成貝は殻長100mm・殻径40mmを超える大型になります。日本産のキバウミニナ科貝類では最大種です。成貝は落葉を端から噛み切って摂食します。
2008.11【黒島】 2013.04【小浜島】
  
  
5.ヒメシャコガイ
琉球列島以南のサンゴ礁に棲息するシャコガイ科最小の貝です。シャコガイの仲間は海中の微少なプランクトン、浮遊物も餌にしていますが、外套膜の組織に渦鞭毛藻類の褐虫藻が共生していて、生活に必要な栄養素の多くを褐虫藻の光合成に依存しています。 沖縄では大変評価が高く、身だけだと結構高価で養殖も進められています。殻の大きさの割に食べられる部分は少ないのですが、刺身で食べるといわゆる磯の香りがして、旨味があります。
2014.04【竹富島】 2014.04【竹富島】
 

Ⅴ.魚類

1. オオウナギ 2. トントンミー
 
  
1.オオウナギ 2.トントンミー
南西諸島では、オオウナギはウナギよりも多い普通種です。川の流れが緩い場所や湖、マングローブなどに生息しています。オオウナギは日中、岩や植物の隙間に隠れて休み、夜になると泳ぎ出て獲物を探します。肉食性で、主に甲殻類、小魚、カエルなどいろいろな小動物を餌としています。 ミナミトビハゼは、河川から流れ込む淡水と海水が混ざる汽水域の干潟やマングローブが生えているところに生息しています。胸びれを動かして干潟などの陸上を歩き回り、小動物を食べます。
エラ呼吸のほかに皮膚呼吸もできるので、干潟でも生きられます。ミナミトビハゼは魚であるものの、泳ぐのは上手ではなく、打ち寄せる波からも逃げようとします。
2013.04【石垣島】 2013.04【小浜島】


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