新城島  PANARI  更新 2018.12.01
上地島集落の小道 クイヌパナからの眺め

1.新城島のデータ

新城島は、八重山郡竹富町に属し、上地島と下地島の2島で形成されています。
両島の間は直線で400メートル。 大潮の干潮時にはリーフ伝いに歩いて渡れます。
その昔、明和の大津波で1つの島が2つに離れたと言われ、両島が離れているゆえに地元では通称「パナリ」と呼ばれています。

所属: 八重山郡竹富町
上地島 周囲:6.2km 面積:1.76km2
下地島 周囲:4.8km 面積:1.5 km2
人口: 13人 男:10人 女:3人 世帯数:12  (2018.03末現在)
最高標高: 34m

水は西表(大富:仲間川の支流) からの海底送水、電気は石垣島から竹富島・小浜島・西表島を経由した海底送電で受けています。 島内でのキャンプは禁止です。

2.新城島の概要・特徴

 定期船の通わない新城島は、八重山でも手つかずの自然の残る、限り無く無人島に近い島です。 小さい島ですが、深い歴史と伝統が残り、神秘の島とも言われています。 南海の楽園とも言える、青すぎる空と海、眩しいくらいの珊瑚が砕かれた白い砂、木々の緑・・・、全てが総天然色の世界の広がる島です。
 通常は、夏季期間にシュノーケリング、ダイビングのために訪れる人がいますが、オフシーズンともなればひっそりとした島になります。
 上地島には集落がありますが、下地島には集落はありません。下地島は雄大な牧草地の広がる島です。
 かつては、下地と上地で700人以上の人口があり、両島には学校もあったそうです。 しかも現在と違って、上地島より下地島のほうが人口が多く、新城島の名前の由来は、下地島に新城村という栄えた村があったからと言われています。
 また、「パナリ焼き」という古い歴史を持つ素朴な焼き物がありますが、これは八重山唯一の陶器であり、島の赤土にシャコ貝や夜光貝等を混ぜて露天焼きしたものです。

 その昔は、パナリ周辺海域には、ジュゴン(八重山の人々はジュゴンのことを「ザン」と呼びます)が多数生息して、そのジュゴンを捕えて人頭税のかわりに琉球王府へ貢納していたそうです。島には、このジュゴンを祀った神社も残されています。
 新城島の土地は石灰岩で10cmも掘ると岩盤が出てくるため作物は育ちにくいです。 また、井戸を掘っても海水なので、かつては天水で暮らしていたそうです(今でもその痕跡あり)。 そこで、人々は石灰岩が少なく土質の良い場所を選んで畑作を行なっていましたが、サツマイモ・粟・麦・豆類やひえ等の雑穀類しか作れなかったそうです。
 天水で暮らすこの島では、干ばつが続くと作物は育たないので食糧危機が度々訪れていたそうで、飲み水がなくなると、西表島まで水をくみに行っていたそうです。 

 (1) 上地島

 現在、上地島には10人程度しか住んでいなくて、過疎の島となっています。 部落内には屋敷が20数戸あります。
 人口の少ない割に屋敷が多くあるのは、年4回の大きな伝統行事の時に郷友の人達が、寝泊りできるように家を建てて(残して)いるからです。
 そのため、2週間に1度ぐらい家の掃除をしに島に帰ってくる、という島出身の方もおられるそうです。 そして、伝統行事の時には、島民、島出身者、観光客を合わせると600人以上が島を訪れるそうです。
 島には産業らしい産業はありませんが、電気・水道・ガスという生活基盤は整っています。 しかし、商店はないので生活用品や食べ物は石垣に買い出しに行かなければなりません。
 当然のことながら、病院や学校などはありません。 但し、上地島には新城島で唯一の宿「新城島民宿」があります。
 因みに電気が24時間使用できるようになったのは、1988年に海底送電設備が完成して以降です。 今年2008年で丁度20年になります。(このときの人口は5人だったそうです。) なお、水道は1975年に整備されています。
 夏の季節には多い時で約100人の観光客が新城島を訪れます。 石垣島・西表島・竹富島・小浜島・黒島と他の島から、泳ぎやダイビング、釣りなどをしに来ます。 しかし、ほとんどの人はツアーで新城島に来るため、島にはお金は落ちず、観光産業と結びついていないのが現状です。

 (2)下地島

 下地島は1963年に廃村となり、現在は島全体が牧場(パナリ牧場)となり、350頭以上の肉用牛を飼育しています。1996年には従業員の数も15人いたそうですが、今では管理人のみが暮らしているそうです。(現時点では、私は下地島には未訪問。)

3.新城島へのアクセス

 現在、新城島には定期航路として運行されているものはありません。 (夏季期間は、上地島に行く人が5人以上いれば、安栄観光が西表(大原)行きの高速船を臨時寄港してくれる場合もあります。)
 このため、通常は黒島などからのツアー(シュノーケリング・ダイビング船)で行くか、西表島からのツアー、チャーター船、シーカヤックなどで行くか、石垣島からのツアー、チャーター船で行くかの方法となります。
 これらはいずれも予約をすることが前提です。 また、船も小型となり、天候・波高によっては運行中止となる場合もあるため、なかなか渡航しにくい島でもあります。 なお、ダイビング船の運航は一般的に10月末までであるため、11月からの渡航はかなり厳しくなります。
 ツアーの代表的なものとしては、黒島からのツアーであれば、「民宿くろしま」や「うんどうや(0980-85-4308)」さん、西表島からのツアーであれば、「新城島観光」、「KEN GUIDE」さん、夏場の石垣島からのツアーであれば「MARINE POINT」、「フージーマリンサービス」、「上地観光」、「ブルーラグーン」、「かりほー商店」、「石垣島エコツアーりんぱな」さんなどがあります。また、地元新城島で、石垣島から「安栄観光・あんえい号」の直行便で行くことのできる「パナリ島観光」さんなどがあります。
 その他、小浜島を起点にしたツアーもあります。 料金は石垣島からのツアーより離島発の方が、距離的に近い分安くなっています。
 ※ ツアー料金は、出発地やその内容によって異なりますので、各ツアー会社にて確認して下さい。
   石垣島発ですと、凡そ大人1名10,000円〜17,000円が相場です。
   なお、ツアーであれば、自由に時間を使って島内を散策するということはできません。
また他の島に寄るとか、弁当がついているとか、ダイビングツアー等に同乗させられてしまうとか、ツアーの条件がいろいろありますので電話で必ず事前確認することをお勧めします。 なお、昼食付にするなら1000円UPといった場合もありますが、その時は予め石垣島のスーパー・コンビニで弁当を買って行ったほうが経済的でしょう。
 それ以外で渡航するには、船をチャーターするか、もう一つ残された手段としては、西表島の大原港からの郵便船に乗せてもらうという手があります。(但し、郵便船については帰りの保障はありません。)

4.島内での移動

 島内の移動は、徒歩のみです。 上地島の集落周辺のみを回るのであれば、ゆっくりと廻っても30分程度もあれば充分です。
 ツアーであれば車を出してもらって少し遠出のできる場合もありますが、それでものんびりと過ごして2時間もあれば十分でしょう。

5.新城島の地図

6.観光お勧めルート(上地島)  (詳細な新城島(パナリ)の観光スポットも参考にしてください。)

1 上地港桟橋 桟橋周辺の珊瑚が非常に美しく、シュノーケリングもよいでしょう。
2 集落散策 昔ながらの白砂や芝生の小道、珊瑚の壁、フクギ並木の集落はとても趣があります。
3 ガジュマルの巨木 とても大きなガジュマルの木と、その下にいるヤギに会えます。
4 クイヌパナ ここから眺める下地島方向の海はとても美しいものがあります。
5 タカニク パナリ島の火番盛。昔の灯台。集落から少し北にいったところにあります。ここに登ると、八重山の島々や、新城のきれいなシアンの海が見渡せます。
6 上地港桟橋

7.新城島の写真(上地島)

上地島桟橋 上地島集落の小道1 上地島集落の小道2
防波堤の無い桟橋です。他の島と異なり浮桟橋ではありません。写真左手の海の珊瑚はとてもきれいです。 舗装でもなく、珊瑚の白砂でもなく、ここの小道は芝生張りです。 珊瑚の塀がフクギとマッチして実に美しいです。
上地島集落の小道3 旧学校跡 雨水タンク
港に通じる道です。道の先に海がかすかに見えます。道の左側に電柱が建っていますが、電気は1988年以降、海底ケーブルで西表島より送られています。 1975年に中学校が廃校されるまで使われていた校庭跡です。手入れはよくされています。 今は西表島から海底送水されていますが、1975年以前は雨水をこうしたタンクに貯め生活用水にしていました。万一水がなくなると西表島まで汲みに行っていたそうです。
ヤギ ヤエヤマオオコウモリ クイヌパナ
大きなガジュマルの木の下に、親子のヤギがいました。 結構大きく、迫力のあるコウモリです。果物などを食べているそうです。(中央部参照) 上地島桟橋の西に位置する高台。民謡「クイヌパナ」で唄われる場所で、「クイ」は地名、「パナ」は先端の意味で、つまりはクイという場所の先端ということになります。西表島や下地島などが眺められ、夕日の美しいポイントです。
クイヌパナからの眺め1 クイヌパナからの眺め2 上地島を後に
特徴ある岩と、下地島方向の海の色がとても美しい。 中央部のやや左側には、下地島のサイロが見えます。 この時はグラスボートで渡りましたが、途中の珊瑚礁はとても美しく印象に残るものがありました。
 

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