台風遭遇時の対策 作成 2015.09.19

 春から秋にかけての沖縄観光で避けて通れないのが台風です。
 ここでは不幸にも滞在中に台風に遭遇した時の対策について紹介します。あくまでも一般的な観光客を対象としたものですので、地元の方たちの対策とは多少異なるかと思いますが、参考になれば幸いです。
 なお、万一遭遇した場合は本土の台風とは違った、ある意味、八重山(沖縄)でしか味わえない貴重な体験ができるかと思いますが、これも旅の楽しみの一つと思って頂きたいと思います。
 
1. 台風被害の程度
 
 まず、八重山(沖縄)で遭遇する台風と、本土で遭遇する台風とを比較すると、規模や強さははるかに大きく強烈なものであることをよく認識しておく必要があります。
 また、八重山(沖縄)地方は緯度が低いこともあり(上空にジェット気流が流れていないため)移動速度の遅いことが多く、時には停滞し長時間にわたって風雨に晒されることが多々あります。本土の台風のように短時間で通過するということはあまりない、と言った方がよいかもしれません。
 本土で結構酷い台風は経験しているので「同じ台風なのだから大したことはないだろう…」などと、決して侮ってはいけないのです。このことは八重山(沖縄)で台風に遭遇した人達には理解してもらえますが、未体験の方たちにはなかなか理解してもらうことが難しいかもしれません。
 台風により具体的にどの程度の被害が生じるかについて知って頂くため、2015年8月23日に石垣島に最接近した台風15号の被害について紹介します。(下の写真参照) この時、
石垣島の登野城では最大瞬間風速71m/sを観測したほか、先島諸島の各地で50m/s以上の最大瞬間風速を観測するなどの暴風が吹き荒れました。
 なお、以下の被害写真は決して特殊な例ではないことをご承知置きください。(本土のニュースではあまり紹介されませんでしたが…。)
 
クルーザーの沈没 コンテナ(?)による押し潰れ 県公用車の転倒 レンタカーの転倒

他にも漁船等が沈没
 レンタカーの転倒 看板の破損
建物フロントの破損 自販機の転倒 電柱の倒壊 信号機の倒壊
 

2.台風接近・通過時の行動の原則
 
 基本的には外出を控えるのが鉄則です。強風・暴風警報が出た場合、外出・運転は諦め、宿でおとなしくしているのがベストです。車の運転などは論外です。
 そして一旦暴風域に入ると、よほど重大な事情でない限りは建物から出ないことです。外に出たら何が飛んでくるか分かりませんし、少し高い所から外に出たりすると身体は風に簡単に飛ばされてしまいます。

 台風時におけるレンタカーなどの運転についてですが、これは風雨により視界が悪くなり大変危険です。風圧でハンドルを取られたり、突風にあおられれば転倒(横転)することもあります。
 加えて、強風が吹き荒れるようになると、また、看板や標識、折れた枝などの危険物が容赦なく飛んで来て、車に大きな傷が付いてしまうようなこともあります。道路上にはさまざまなものが散乱し、また、倒木や冠水も当たり前で、場所によっては崩落・陥没や、土砂崩れに巻き込まれる可能性も大いにあります。
 さらに、本土ではあまりないことかもしれませんが、台風時の停電は珍しいことではありません。時には復旧するまでに何日もかかるようなこともあります。このような時には信号機も機能せず、交差点が大変混雑することも珍しくはありません。
 このようなことから、よほどのことがない限り車の運転は控えるべきです。
 
 台風が現在地を直撃するようなコースをとった場合、台風の目の中に入ると、さっきまでの暴風雨は一体何だったんだろうというくらいピタっと暴風雨が止んで、嘘のように静かになり、時には青空や星が見えるようなこともあります。台風が通過したと勘違いするかもしれませんが、台風の目から少しでも抜ければ、今度は猛烈な「返しの暴風雨」が始まります。決して油断せず、嵐の収まるのを待ちましょう。
 
3.事前対策
 
(1)ライトの確保  八重山(沖縄)では大きな台風が来ると、よく停電します。(電線の地下埋設化でできるだけ停電しないような対策も少しずつ進められていますが、全体的にはまだ僅かな区間です。)
 このため、懐中電灯・非常用ライトの確保をして下さい。そして、事前に電池のチェックも忘れずにしておいて下さい。ホテルによっては備え付けのライトがあるかもしれませんが、事前に場所と動作の確認をしておいて下さい。
 加えて、すぐに手にとれる場所に置いておくようにして下さい。ライトがないと停電時に室内の移動ができませんし、トイレに行くこともできなくなります。

(2)ラジオ・テレビの準備  台風・気象情報の聞けるラジオ・テレビの準備をして下さい。
 スマホのワンセグ利用でもよいかと思います。但し、放送塔(送信所)が停電になることを考えると、やはりラジオの方が情報収集により向いていると言えるかもしれません。

(3)食糧調達  台風の規模と、進路ならびに速度から、必要と思われる食べ物を調達します。
 昔はスーパーやコンビニが少なく、貨物船が小さくて物資輸送にも不安があったこともあり、台風が来るというと地元の人々には一週間分ぐらいの食糧を買い置きする癖がまだまだ残っています。台風前日はどこのスーパーも大変混雑しますので、早めに買い出しに行きましょう。
 台風さえ通り過ぎれば、スーパーもコンビニも即営業を再開しますので、一般にはあまり大量に買う必要はありませんが、品物によっては入手困難なものもあります。
 なお、八重山の生活物資は主として那覇から船便で送られていますので、台風が那覇の方に進むと貨物船も運航されず、何日も生活物資が届かない(結果として品不足)となる可能性があります。

(4)水の確保  万一断水になった時のために、ペットボトルの水を買って飲用水の確保をしたり、風呂に水を貯めたりします。
 風呂に水を貯めるのは、貯水タンクが下にある建物の場合、停電すると水をくみ上げることができなくなり断水するためです。タンクを使わずポンプで上層階まで圧送する(ラインポンプによる)方法もありますが、こちらも停電すると断水します。そのための生活用水の確保、主にトイレ用の水として風呂に水を貯めておきます。

(5)冷蔵庫の氷確保  停電になった時の食材を冷やすためにも、冷蔵庫でできるだけ多くの氷を作っておくようにします。
 また、冷凍できるものは少しでも冷凍庫に入れ冷凍するようにします。
凍らせておくと他の食材等を冷やす目的でも使えますので、凍らせられるものは凍らせ、逆に一度溶けたら食べられないアイスなどがあれば早めに食べて片づけるようにします。

(6)携帯電話の充電  携帯をフル充電しておきましょう。また、予備のバッテリーがあればこちらもフル充電しておきましょう。

(7)カーテンを閉める  カーテンやブラインドを下ろし、万一窓ガラスが風圧等により割れた場合でも、ガラスが室内に飛び散って怪我をしないようにしておきましょう。

(8)洗濯をする  これは長期滞在者等でコインランドリー等を使って衣類の洗濯をしておられる方むけの準備ですが、停電になったら洗濯機も回せなくなるため、洗濯物が溜まっていたら残らず洗濯し、部屋干しします。

(9)ペット関連品の確保  最近はペットを連れて旅行される方も多くなりました。ペット達の必要物品の確保を忘れないようにしましょう。ペット用の食べ物は勿論ですが、飲み水なども忘れず確保しましょう。

 

4.その他注意事項
 
(1)エレベーターの利用  停電の可能性のある場合、危険ですのでエレベーターは絶対に使用しないで下さい。万一停電し閉じ込められた場合、メンテ要員も自身の安全確保のため、台風が過ぎ去るまでは外出を控える恐れがあります。
 また、地下室のある建物などの場合、最悪はエレベーター内に水が入ってくることも考えられます。

(2)レンタカーの扱い  前述のように、台風が接近すると車での外出は非常に危険です。
 このためホテル等に滞在することとなり、車を駐車場に置いておくということがあろうかと思います。しかし、前掲のように駐車場に駐車していた車が風で飛ばされ転倒、傷付くようなことも起こります。
 こうした状況に対し、後あと一番問題が生じない対処方法は、事前にキャンセルしてレンタカー会社に車を返却するというのが最も望ましい方法かと考えます。
 しかし、特に本土の方にとっては八重山(沖縄)の台風の凄さは未知の世界でしょうし、台風が過ぎ去った後の行動のしやすさ等を考えると、これはなかなかできないことかと思います。

 では、もし台風によりレンタカーに傷が付いた場合、どうすればよいのかということですが、これはそれぞれのレンタカー会社が定めた約款を見ないと分からないというのが結論と言えようかと思います。約款の内容がよく分からないようであればレンタカー会社に聞いてください。
 とは言うものの、対応方法が全く分からないというのも困るでしょうから、ここからはあくまでも一般論として記載することにします。

 まず、一般条件の車両保険では、台風による被害は免責適用されます。普通のレンタカーならまず一般条件で保険に入っているかと思われます。

 問題となるのは、車を傷つけたりした場合に、車両保険料とは別にNOC(ノン・オペレーション・チャージ)という、通常、事故を起こした時に取られるお金があります。(NOCについては貸し出しの際に必ず説明があります。)
 これは修理期間中にレンタカーが使えなくなることに対する補償で、通常の事故を起こしてしまった場合は保険適用でも修理費に関係なく、通常、指定の営業所に車を返した場合は2万円、営業所に返せなかった場合(自走できなかった時)は5万円を請求されることが多いのですが、これが台風被害時にも適用される可能性があります。但し、これをどうするかはレンタカー会社次第だと思われます。

 このようなことを含め、レンタカーを借りるときにはよくレンタカー会社に計約内容についてよく聞くと言うことが重要かと思います。

(3)台風接近時の航空臨時便  台風が接近しそうであれば、その規模、進路ならびに速度から判断し、予定を変更してできれば台風の襲来する八重山から早めに脱出されることをお勧めします。
 この場合、自己都合で予約を変更すると費用がかかりますが、台風が接近し欠航することが確実となったような場合、各航空会社では予定を切り上げて八重山(沖縄)から帰りたい(脱出したい)人のために、臨時便の運航が行なわれる場合があります。

 この場合、航空券の予約変更に関しては柔軟に対応してくれることが多く、通常、旅割など変更のできない航空券でも当該便に変更してもらえます。また、場合によってはANA・JAL間の変更ができる場合もあります。これは、航空会社としても、運行再開後の混乱を少しでも少なくしたいために臨時便を飛ばすわけですので、あくまでも緊急避難的措置ということになります。
 臨時便の運航に関しては、航空会社からの運航に関するHPや、地元新聞紙のニュース、ならびに航空会社の窓口などで確認して下さい。

(4)航空機が欠航した時  台風接近により、航空機が飛ばない場合、チケットは無効にはなりません。無料で空席待ち券に切り替えとなります。

 もし、時間やお金に余裕があるのなら、キャンセル待ちで1日を費やすよりは、割り切って近くのホテルなどの宿泊施設に滞在してしまう事をお薦めします。確実に飛べると思われる便に予約を入れ、それまで旅を楽しむというのも一つの選択です。
 因みに、八重山(沖縄)からの帰りの便のチケット変更をする場合、あくまでも台風の影響が治まるまでの期間での変更となります。個人の勝手で好きなように変更できるという意味ではありません。
 例えば、台風通過後、余裕をもって3日後へチケットの変更をしたい場合には、航空会社のカウンターでは、必ず『台風により、都合がつかなくなったので3日後に変更してほしいのですが…』などと、台風の為の変更であることを告げて下さい。そうすれば一般には無料でチケットの切り替えができる場合もあるかと思われます。
 理由を言わず単純に『3日後にチケットを変更したいのですが…』と言うと自己都合による変更とみなされ、場合によっては変更料金を自己負担しなければならないこともあるようです。

 これらは、あくまでも台風の影響が治まる(混雑解消する)までの特例処置であることを、よく理解しておいて下さい。

 しかし、どうしても本土方面に帰らなくてはならない場合、例え翌日の便が満席になっていても、空港に朝から行き(初便の出発に間に合わせ)、キャンセル待ちをすることをお薦めします。
 満席と表示されていても、本当に満席となっている訳ではなく、新規の予約を受け付けないようにするために、満席と表示することが行われているようです。従って、このような場合には、キャンセル待ちの方を優先に航空機に乗せていくことが行なわれているようです。

 以下に、欠航時の具体的な対応について記します。

(1) 空席待ちをする場合
 搭乗予定の空港会社のカウンターで「特別空席待ち整理券」を受け取ります。
 航空機が運航を開始したら空席待ち整理券の番号がアナウンスされるので搭乗手続きをします。
 臨時便を運航する場合もあるので、空港のアナウンスに注意をしてください。

(2) 搭乗を中止する場合
 搭乗予定の空港会社のカウンターで払い戻すか、欠航証明書をもらい購入店舗で払い戻してください。
 ※詳細は、各航空会社に確認してください。

 

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